2015.ヨーロッパ二人旅・その パリ

 2015.6.6. ミラノの宿は中央駅のすぐ前で、そのホテルの窓から見下した所に、空港行のバスが停まっている、という素晴らしいロケーション。ゆっくりと朝食を摂ってからバスに乗ります。こういうのんびり、が可能なのが自由旅行のいい所。失敗も沢山しますが、ツァーにはない魅力です。さて、パリはシャルル・ドゴール空港に無事到着。バスで市内へ。今回初めてアパルトマンに泊まった。着いてみるとあまりの狭さにびっくりしましたが、凱旋門から歩けるという地の利と治安も悪くはないこと、値段との釣り合いを思えば文句をいえた義理ではない、と納得。目の前にスーパーもあって、ささやかながら「住むように泊まる」という夢も実現しました。

さあ着替えをして、東京で買っておいた「マリオ・ジョアン・ピリス」の演奏会に飛び出します。この会場で、ドイツはフランクフルトから私に会いに飛んで来てくれる弟子と合流しょうという、なかなかスリリングな計画。“Theatre de la Ville”という古い会場。有難いことに無事彼女は隣の席に座って待っていてくれました。この何とも古色蒼然という会場でピリスを聴く、と言うのも私が経験してみたかったことなのです。 というのも。パリには相当回来ているのですが、毎回「日本では見られないものを」と言うのでオペラとバレエばかりを追っかけていて、室内楽をじっくり聴くチャンスを作らなかった自分に気づいたからでした。

今日のピリスは、ジュリアン・リベール(Julien Libeer)という若い弟子との4手連弾を織り交ぜてのプログラム。この若者を世に出してやろうというのが眼目のようです。

まずは二人の F.Schubert:Fantaisie pour piano a 4 mains (f mineur) Op.103,D 940

この出だしのメロディーがピリスの手から紡ぎ出された途端、「あ〜、この音、この節を聴くだけでも、今日ここに来られてよかった」と思いましたね。何とも言えない音色なんです。曲全体もとても素敵。若者も頑張ってました。

次はジュリアン君のソロでRavel: Le Tombeau de Couperin. (クープランの墓)

これはどうも納得できなかった。ん〜、この曲、こういう曲だったっけ?っていう感じ。そして最後がピリスのソロでSchubert: Piano Sonata 変ロ長調, D 960.

まったく至福のひと時、でありました。

夫・倖三、私、彼女。三人三様の感想を胸に、とても満ち足りて帰って来たのでした。2年前にご主人の転勤で渡独した彼女は、とてもいいピアノを弾く人で、ヨーロッパでの生活をエンジョイしている様子でしたが、パリで室内楽を聴く経験を喜んでくれました。

6月8日

夫が前夜から発熱。疲れもあって風邪をひいたらしい。可哀想だが薬を飲ませて一人でお留守番してもらう。私は諸々予定した用事がありましてネ。切符の取り直しやら、東京の友人に聞いた素敵な図書館を訪ねるやら・・

そしてそのまま音楽会へ。場所は都心からは少し離れる「パリ国立高等音楽院」の構内にあるホールです。私が毎年ペリグーの講習に通う道すがら、ジャン・ジャック・カントロフやミッシェル・アリニョンのレッスンを聴かせて頂きに通った懐かしい場所。6年来なかった間に、この構内に素敵なコンサートホールが二つ出来ていたのです。

この場所を見ることも今回の楽しみの一つでした。ここで私は一つミスをした!開演時間を1時間早く思っていたのでした。翌々日・6/10に行く予定の会と勘違い。で、着いてみれば「あと1時間半あります」という状態で。まぁ、近くのカフェで時間をつぶしてもいいのですが、これもチャンス、と公園にもなっているこの辺りを散歩。こういう「パリでひとり」という時間は素晴らしい。ものすごく解放感があります。(なにナニ?普段は解放されていないのか、って?フフフ) 折から抜けるような青空でしてね。ジュン・ブライド(6月の花嫁)という言葉がありますが、梅雨のないヨーロッパでは6月は最高に気持ちの良いシーズンなのです。人影もまばらな大ホールの広い前庭に座って眺めた青空が忘れられない。

そうこうする内、室内楽ホールも開場。しかしまぁ、なんという世の中の進歩でしょう。当節の音楽会には「入場券」というものが無くてもいいのです。日本からネット予約し、プリントアウトした予約券にあるQRコードを、おニイさんがチャっと読み取っておしまい。まあ、便利というか味気ないというか。6/8のピリスの時は、受付で本来の入場券に取り換えてくれたのですが。昔はこの「入場券」に意匠が凝らしてありまして、思い出にとせっせとファイルしていたものでしたが。

さて、本日の会は。とても面白い企画なんです。演奏はミュンヘン室内合唱団と室内官憲楽団。指揮はアレクザンダー・リーブライヒ(A.Liebreich)


Pascal Dusapin 

(1955〜)という気鋭の作曲家(ナンシー出身。美術科学芸術学美学ソルボンヌ大学で学ぶ。フランコ・ドナトーニの指導で1970年代中葉よりヤニス・クセナキスの講習会に出席した。この時期に「線的」な作曲技法を極めた。

1981年から1983年までローマ留学。1993年から1994年までリヨン国立管弦楽団のコンポーザー・イン・レジデンスに選任される。1979年にエルヴェ・デュガルダン賞を、1993年に芸術アカデミー賞、1994年にSACEM賞交響楽部門等を受賞。東京音楽大学の招きでマスタークラスを開催してもいる。

コレージュ・ドゥ・フランスの開講講義を行った音楽家の2人のうちの1人であり、トロンボーンとオーケストラのための協奏曲「Watt」でUNESCO大賞を受賞した。)

「Disputatio」という作品。これがとてもとても面白かった。演奏がいい!合唱というのは何と凄い音楽素材なんだろう、と思いましたよ。 合唱が「〜〜」とたたきつけるように歌う。残念ながらドイツ語の歌詞は全く解らない。が舞台の壁面にフランス語のキャプションが写し出される。私のフランス語でもあらかたの見当はつく、宗教的な内容なのです。「死とはなにか!」「神とは何か!」なんて具合で。オーケストラとのバランスもよく、これはヨーロッパでも一級品だな、と。

更に、この「超現代」の作品と、フランスではもはや古典であるMaurice Durufleの"Requiem"を対峙させてという企画。すごいことをやるなぁ、とという実感。おまけにこのMaurice Durufleの"Requiem" は、若き日の私にとって大変思い出深い作品でして。何とかお終いまで聴きたかったのだが、50分ほどの地下鉄と、23:00を過ぎた凱旋門からの暗い道を考えると、散々迷った挙句、安全を選んで"Requiem"を諦めたのでした。倖三クンの風邪が恨めしい。夫付ならメトロも道も何の問題もなかったのですが!







  




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