久し振りの上田晴子、小林美恵とのデュオを聴く

2016.6.25. 待ちかねた音楽会を聴きました。

 

 わが敬愛する室内楽ピアニスト、上田晴子さんの演奏会です。今回のお相手は、互いを熟知している素敵なヴァイオリン・

小林美恵さん。

プログラムは「ドヴォルザーク: 4つのロマンティックな小品 Op.75」からです。

 軽やかに、匂やかに、二人は本当に楽しく遊んでいるような塩梅。自在な音楽の関わり合いが素敵です。

 

ベートーヴェン: ヴァイオリンソナタ 第10番 Op.96

  これは圧巻でした。 言葉でいろいろ書くことは難しいけれど、つい近日、上田さんにこの曲をレッスンして頂いた、という

若きピアニストが、休憩時間のロビーで私を見つけて「2楽章を弾き出された時、アレ?こんな風に弾けるんだ!こんな姿をした

曲だったんだ、って思ってしまって。涙が出そうでした」と言った言葉が、一番的確に、その日の演奏を語ってくれるでしょう。

 

気負う訳でもなく、さりとて流す訳ではなく。本当に互いを聴きあい、見つめ合ってするアンサンブルとは、こういうものなのね、

と。

 

ラベル: ヴァイオリン・ソナタ 「遺作」

 有名な、よく演奏される3楽章のソナタより、30年も前に書かれた、1楽章のソナタ。 ラベルらしく、緻密に書き込まれた

作品が、二人の名手によって解きほぐされ、二人して楽しみつつ、聴衆を一緒に音楽の歓びの中へ誘いこんでくれる。

「聴く幸せ」とは、こういうものか、と思わせてくれる時間だった。

 

フォーレ: ヴァイオリン・ソナタ 第2番 e moll Op.108

 この曲でもしかり。上田さんの音の色の豊かさ、リズムの自在! いつも相手の出方次第で「打てば響く」反応を用意

している、彼女の懐の深さが、小林さんの造形力と響きあって、本当に素晴らしい演奏だった。美恵さんの音の流麗さと

芯の強さ。相反するようでいて彼女に於いてはしっかりと、豊かに結びついているこの特質がまばゆかった。

 

こういう音楽会が聴ける、というのはなんという幸せだろうか。本当に感謝の気持ちでいっぱいになって、会場を後にした。