言葉にならない位 素晴らしい音楽会を聴いた!

        2020.3.19   アンドラーシュ・シフ   リサイタル

                            オペラシティー

 

 新型コロナウィルスとやらで、どちらを向いても音楽会のキャンセル。

その嵐の中、敢然と催行したカジモトに敬意を表する。

 

 演奏は。「神々しい・唯 神々しい」   

聴きながら、心に浮かんだのはこの言葉だった !

 

今からおよそ30年前。40を少し出たころのシフを、松戸の聖徳學園ホールで聴いた。

Bartok の「戸外にて」がとてもよかったのを覚えている。

 

 そして、30年。シフも67歳になり、私の前に立ち現れた。毎月、唐崎(滋賀)での

研究会で彼のBach・平均律を聴いて、そのあまりの彫琢の深さに感動。どうしても

聴きたくて、大奮発、13000円の切符を数か月前に買っていたのだった。

 

 キャンセルか、とハラハラしながら迎えた当日。早々に会場に着き、待機。

 

しかし、素晴らしかった。まず、この人の音の美しさ。音楽なんだから、音が美しい

事が何よりも優先。そして、曲に対する理解・同化。自分の中で愛しきったものを

聴き手に零してくれる、この親愛。私は唯、彼の懐に抱きとられて、目を閉じ、

心だけを呼吸させて、母の乳を待つ赤子のような時間を楽しんだ。

  言葉に出来ない時間。

 

 この音の玄妙に、わが愛する、ベーゼンドルファーが、大いに力を貸していたことを

思う。製作者・・ 調律師・・ そしてシフの希望により、演奏の合間の拍手はしないこと

が告げられた。将に「静寂が音楽を生む」  会場からは一つのしわぶきも聞こえ

なかった。すべての人が、彼の届ける音楽に同化していた。

 

曲目

  1. Schumann   精霊の主題による変奏曲 Wo 024
  2. Brahms     3つの間奏曲  Op.117
  3. Mozart     ロンド a moll K.511
  4. Brahms     3つのピアノ小品  Op.118

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・休憩 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  1. J.S.Bach    平均律第1巻 24番 Prelude+Fuge
  2. Brahms     4つのピアノ小品  Op.119
  3. Beethoven  ピアノソナタ 26番 Es dur  告別  Op.81a

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ここまでだって「神様との時間」だったのに。 アンコールが6曲!!!

 

  • J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲 BWV988から アリア
  • Mozart: ピアノ・ソナタ第15番 ハ長調 K.545から 第1楽章
  • ブラームス: アルバムの小品
  • シューマン: アラベスク op.18
  • シューマン: 「子供のためのアルバム」op.68から 楽しき農夫
  • シューベルト: 即興曲 変ト長調 D899-3

ただ、ただ、今日自分が生きていて、この会場へ来られたことを

神に感謝した。