28年ぶりのチョン・キョン・ファ(鄭 京和)!

 2013.6.13. 博多でチョン・キョン・ファを聴きました。
この人を前に聴いたのは1985年。ベルリンの壁も崩壊していない
頃のことです。現在、60代半ばかと思われますから、あの頃はまだ
30代。出産の為に2-3年休んでの復帰公演だったと記憶しています。 その時聴いたブラームスの「雨の歌」のあの出だしの素晴らしさ。そして“獲物を狙う豹”のような精悍な印象はすっかり影をひそめ、その代わりに「こういうブラームスというのもあるんだなぁ」と
感心してしまうようなテンポ設定や、独特の歌い回しが記憶に残りました。しかし、何だか心にしっくり来ない。昔の強烈な印象が染みついているからでしょうか。

MozartのVn Sonata K.304 e moll  はしっとりとして「なるほどね」だったんですが。

首をひねる思いで休憩。
後半の彼女は人が変わったように突進! 
シマノフスキーの「夜想曲とタランテラ Op.28」から
フランクのVn Sonata は圧巻だった。

ピアノのケビン・ケナーの弱音のコントロール、キョン・ファの
変幻自在のテンポに呼応するセンスの良さは瞠目に値するが、後半、
特にフランクに至って少々乱暴な"forte" が聴かれ、音色の制御が
万全でなかったのが気のなった。

しかし、同じ演奏家を長い年月を隔てて聴くこの体験は、私にはとても面白く、同時に聴き手としての自分に流れた時間にも思いをいたした、素敵な経験でした。

会場は「福岡アクロス大ホール」。 こうした室内楽は、もう少し小さい、音のまとまりのいいホールで聴きたいなぁ、とも思いました。